おすすめ記事

買うべき?農業ドローン導入のメリットとデメリット

最新の農業ドローンで楽に防除を終わらせたい!地域の担い手として防除を請け負いたい!
本コラムでは、そんな望みはあれど、まだ踏み出せないという方に向けて、農業ドローンのメリット・デメリットを解説いたします!

結論...買って損はない

まず早速、1つ目の見出しで結論を書かせて頂きましたが、その理由としては、農業ドローンの開発がどんどんと進んでおり、手軽なものに近付きつつあるためです。

農業ドローンが日本国内で広がりを見せ始めて早5~6年。最初期の農業ドローンをご存じの方は、難しい操作を覚えなければならなかったり、機体の構造が複雑で整備が大変だったりと手間が掛かるイメージであったり、高価なものというイメージを持っていたかもしれません。
しかし、ドローンの開発・普及の拡大は「スマホ」に例えられるほどに、急速に進んでおり、最初に発売されたドローンと2022年最新のドローンとを比較すると、デビューのし易さ、維持のし易さの面で大きく向上しています。さらに、「撒く物」も増えており、ますます農業ドローンを導入するメリットが拡大しています。

また、政府は補助金等の政策で、こうした農業ドローンを含めたスマート農業機器の導入を推奨しているので、上手に補助金を駆使して購入ができれば、まさに買って損はないの状況となるのです。

 

メリット解説

農業ドローンの活用の場を考えると、やはり一番は、防除でしょう。背負式動力噴霧器やホースを伸ばして人力で散布する手段に比べて、ドローンであれば、手軽に散布が行えます。この手軽さは、農薬を高濃度で使用できるため、水(および水タンク)の用意が少なくて済む点、重い機材を長時間持たなくても良い点があるためです。夏場の重労働には、熱中症のリスクがありますし、大面積の散布は骨が折れる作業です。実際に散布を行っている様子を目にしたことのある方はすでにご存じかもしれませんが、空中防除の作業時間は、地上防除と比べて1/2~1/3程度に短縮することが可能です。

さらにこれまで散布業者に委託していた方は、ドローンに切り替えた委託業者に依頼して同様の形を継続できますが、自身で手軽にできる散布機材を持っていれば、適期防除を行えますし、長期的に見たら安上がりです。また、慣れれば1日に10ha以上の散布も難しくありません。そのため近隣の高齢の農家さんに代わって、自分の圃場だけでなく、地元の散布を請け負う地域の担い手の方もいます。政府はこうした担い手への支援も活発化させており、そうした制度を利用して、農業ドローンでの農薬散布を主軸に独立開業される方も増えてきています。

担い手さんの例)関東在住の水稲農家さんで、70代後半の男性。DJI社製農業ドローンを所有しており、2020年に作成した自動航行経路を、今年も前日に確認し、散布当日は15ha以上を半日で行ったとのこと。今年で3年目。)

ここまで防除についてのみ解説いたしましたが、空中散布だからこそできる追肥やセンシングと組み合わせた可変施肥などの肥料散布や育苗と田植えに代わる新たな栽培方法、ドローン直播など、農業ドローンがないと実現できないこれからの農業という形があります。

デメリット解説

とはいえ、メリットばかりではなく、しっかりとデメリットを熟知した上でなければ、損をしてしまうかもしれません。
農林業センサスによると、農作物の生産に必要な経費の内、農機具費の割合が2割を超えているのが一般的なようです。コンバインなどの大型収穫機と比べると、150万円~300万円ほどで導入できる農業ドローンの導入コストは、1/4程度ではあると考えられるものの、省コスト、省力化を目的に購入する農業ドローンが農業経営の負担になるようでは、大きなデメリットとなってしまいます。耐用年数は一般的に7年と言われていますが、農業ドローンが世に出始めてまだ7年経っていない現状では、甘い言葉に惑わされずに慎重にコスト以外の点も考慮して検討していく必要があります。

また、手軽に散布が可能ではあるものの、近年ドローンに関する法整備が進み、むやみやたらに飛行が可能なものでもなくなりました。
これに関しては、農業機械としてはデメリットと捉えられますが、委託を受けて散布を行う方には、追い風でもあります。
車の運転免許同様、正しい知識と技術を身に着け、実践していくことで、農業ドローンの法規制は、足枷ではなく、散布業務のプロのお仕事として差別化できるメリットがあります。

その他のデメリットとして、性能差として、ラジコンヘリと比べ、ドローンの方が劣る点がいくつか存在します。しかしながら、今現在、操縦を覚えるまでにより多くの時間を要するラジコンヘリで、新しく農薬散布を始めるという方は極めて少ないでしょう。その理由としては、操縦の問題だけでなく、ラジコンヘリの機体構造がドローンよりも複雑なため、初期費用が5倍程度に膨れてしまうためという点があります。そのため性能において劣る点はあれど、選択肢としてはドローンに軍配が上がるでしょう。これについては、後程、別のコラムで解説を行う予定です。

どのくらい散布すれば元が取れる?

メリットとデメリットを確認し比較検討を行うためには、「どのくらいの散布を行えば初期投資の元が取れるか?」という疑問を持つ方もいらっしゃるかと思います。
ここでは、農業ドローン一式を200万円で購入した場合、その費用を回収するためにはどのくらいの面積を散布すれば良いか?という点について考えてみます。今回は計算を単純化するために水稲防除のみで考え、比較の対象を「委託した場合」と「自身でドローンを購入して散布を行う場合」とで考えてみます。

まず、全国の散布業務受託企業の散布単価の確認方法として、農業支援サービス事業者に登録している企業の情報を元に考えます。
2022年9月30日に更新のリストでは、水稲防除の面積当たりの散布料金の単価を記載している企業は22社でした。
地域によって単価(1反あたり)は1,000円~3,000円(税込)とバラツキがあるものの、その平均値は約1,800円とわかりました。

従って、2,000,000円÷1,800円=1,111反=111町歩がボーダーラインとなり、111町歩以下の散布の場合には、委託をした方が安上がりとなり、
111町歩以上の散布を行う予定があれば、自身で購入した方が安上がりと考えることができます。
さらに、初期費用を1年で回収しようと思えば、111町歩の散布をする必要がありますが、例えば、5年で回収したいとなれば、111町歩÷5年=22.2町歩です。つまり年間22.2町歩の散布を行えば、5年目以降は無料で散布が可能と考えてもおかしくありません。

ただし、22.2町歩を超える面積の圃場を個人で保有している方が少ないのも事実です。そのため、自分の圃場のためでなく、近隣の圃場の防除を請負うことで、補填している方が多くいらっしゃいます。今後、農業ドローン相談室では、「教えちゃいます!農業ドローンを仕事にする方法」と題したコラムも作成予定です!

さいごに

現在、日本の農業は、新型コロナウイルスのまん延による外食産業からの需要低下の影響を受けた卸売り価格の下落やウクライナ侵攻の影響を受けた肥料価格の上昇、

そして、かねてからの課題である高齢化も相まって、省コスト化・省力化が益々重要な課題となっています。農業ドローンを含むスマート農業機器の普及拡大は、それらの解決策として、国を挙げて推し進められる決定方針です。

このような状況にあって、農業ドローンの導入を検討されている方には、ぜひ「農業ドローン相談室」を活用頂ければ幸いです。

農業ドローン相談室では、農業ドローンに関するコラムを今後も随時更新予定です。お問い合わせフォームからぜひ取り上げてほしい内容についてもご要望を頂ければ幸いです。

おすすめ記事

Contact

無料相談フォーム

農業用ドローンに関する無料相談を承っております。
こちらからお気軽にご相談ください。