メーカー別導入コストまとめ
農業ドローンを導入するにあたって、気になる点の一つとして、初期費用があるのではないでしょうか?
メーカー別の講習費用や機体・バッテリーなどの価格、国土交通省への登録申請費用などなど。
購入する代理店によって全体費用は変わるため、最終的には、各店舗に見積もりを請求する必要があります。
本コラムでは、見積書には記載されていない部分も合わせた全体費用を確認するために必要な情報について解説いたします。
初期費用としてかかるものには何がある?
まず、機体や部品以外の費用として、講習や申請等に掛かる費用について解説いたします。
【講習について】
ドローンを使用して、農薬散布を行うには、国土交通省への許可申請が必要です。
その許可申請では、安全にドローンを使用して、「危険物輸送」、「物件投下」を行う技量があることを証明する必要があります。
メーカーおよび販売代理店等が実施する講習を受講すると、その証明を取得することができ、申請がスムーズになります。
DJI社・NTT e-Drone社の場合は、メーカー指定の講習を受けることを義務付けています。
Mazex社・XAG社においても、メーカーおよび代理店において講習を随時開催しており、安全な飛行、法令を遵守した作業を行うためにも受講が推奨されています。また、受講の有り無しに関わらず、自身での国土交通省への申請が必要な点を考えると、受講を行うことで申請手順について細かく質問もできる点からも受講が推奨されます。申請に不慣れな場合、行政書士などに申請を代行してもらうことも可能ですが、その場合、費用が掛かります。
なお、DJI社の講習の場合、この国土交通省への申請も代行してくれるため便利です。講習費用は、10万円~30万円ほどを見ておくとよいでしょう。
【登録・許可承認申請について】
受講が修了したら、国土交通省に対し、許可承認申請を行います。申請すべきものは、「操縦者」、「機体」の2点です。
申請は、「ドローン情報基盤システム2.0」もしくは郵送で行います。操縦を行う者の許可承認申請には費用は発生しませんが、機体の登録には、980円~2500円程度の申請手数料が発生します。
機体・必要備品の単価について
次に、機体及び必要部品について確認します。 基本的な部品として、下記のものがあります。
農業ドローン本体 | 60万円前後~150万円前後 |
バッテリー | 6万円前後~20万円前後 |
充電器 | 6万円前後~20万円前後 |
粒剤散布装置 | 10万円前後~25万円前後 |
GNSS RTK(XAG社の場合) | 28万円前後 |
合計すると、最も安価な機体で安価なセット内容にすると80万円前後、
最も高価な機体でバッテリー本数を多めの内容にすると、330万円前後になります。
使用する環境(対象作物、対象面積、1日の作業量など)によって、購入者に最も適する機体は変わるため、価格だけで良し悪しを判断することは難しいですが、mazex社製 飛助mini一式が最もお手軽なセットとなります。
コスト・作業時間・労力を比較
トータルコストとその作業の利便性を比較する手段として、1軒の水稲農家さんのケースで仮定してみます。
1日で、5haの水稲防除(液剤)を行う場合で、現場での充電は行わない想定。圃場の形は整っており、
圃場同士はそれほど離れておらず、カタログスペックに近しい性能を発揮できる状況という想定です。
【散布モード】
➀ DJI社製 T10の場合、この環境では、ABモードでの散布が最も効率的でしょう。
➁ NTT e-Drone社製 AC101の場合もABモードを選択。
➂ mazex社製 飛助MG/DXの場合もABモードを選択。
➃ XAG社製 P30の場合は、自動航行での散布を行います。
【必要バッテリー数】
➀ T10は、バッテリー1本で1haの散布が可能なため、バッテリー5本が必要。
➁ AC101は、バッテリー3本で散布が可能。
➂ 飛助MG/DXも、バッテリー3本で散布が可能。
➃ P30もバッテリー3本で散布が可能だが、他社と違い、GNSS RTKの設置が必要。
【コスト面】
表に記載
【時間面】
散布幅について、➀は6m、➁は5m、➂と➃は、4mであるため、➀は、➂と➃の2/3の折り返し回数で飛行できるため、作業時間が短くなりそうです。➃は自動航行で散布を行うため、自動航行のルートが事前に設定されていた場合、RTK固定局、移動局の設置に掛かる時間だけ、➀➁➂よりも少し時間が掛かってしまうでしょう。ルート設定がされていない圃場であった場合、➀➁➂の2倍~3倍の時間が掛かるでしょう。
【労力面】
➃は自動航行で飛行したため、事前のルート設定が完了していた場合、最も操縦者の負担が少なく済むでしょう。
➀、➁、➂は、手動航行で散布を行いましたが、若干の飛行の安定性に違いがあり、若干の疲労感の差が生じるでしょう。
最も安全機能が装備されている➀は➁、➂より不安要素が少なく作業を終えることができると考えられます。
以上の点を簡潔にまとめた表がこちらです。
さいごに
ここまでメーカー別にコストとその結果をまとめてきましたが、参考になりましたでしょうか?
今回は初期費用に焦点を当てて解説いたしましたが、このほかに定期点検費用などの維持費や保険や事故時の損害賠償などお金にまつわる点はまだいくつか存在します。買った後に気付いて後悔をすることがないよう、この他のコラムもぜひお読みいただき、ぜひ最適な1台をご選択ください。なお、ご意見や要望等がございましたら、お問い合わせフォームよりご連絡下さいませ。 ・・・・・・・